中学2年生の技術デザインの授業にて、再生可能エネルギー(水力・風力発電)をテーマにした成果発表会を行いました。 本校が目指す「Arts STEM(アーツ・ステム)」の授業として、技術科の枠にとどまらず、社会科や理科の知識を総動員した教科横断的なプロジェクトです。
■ 奈良市の地図を広げて「社会」の視点で考える
「技術的に優れた発電機を作ること」だけがゴールではありません。授業では、奈良市の地図を広げ、「風の通り道はどこか?」「水量が豊富な川は?」と、地形や地域特性を読み解く社会科(地理)の視点を取り入れ、ベストスポットを探り当てました。
■ データで実証する「理科」の視点
3Dプリンターで作ったプロペラで実際に発電実験を行った後は、得られた電力を分析します。ここでは理科で習った「オームの法則」を用いて電流・電圧を計算したり、電力(ワット)を熱量(ジュール)に換算したりと、数学的な根拠を持って「この電力で何ができるか」を導き出しました。
■ 生成AIとの協働、専門家からの講評
考察のプロセスでは生成AI(Gemini)を壁打ち相手として活用。最終的には、「奈良市の○○に、この形状の発電機を設置する」という具体的なプランを発表しました。
当日は講師として、地域のエネルギー活用に取り組む株式会社イーセレクト 代表の岡山秀行様、奈良県 脱炭素・水素社会推進課の大江和希様をお招きしました。 岡山様からは、「今後は大きな発電所を作るだけでなく、未利用の場所に『形状を工夫した小さな発電システム』を作ることが期待されています。皆さんの発表を見て日本の未来は明るいと感じました」と、生徒たちの柔軟な発想と論理的な提案を高く評価していただきました。
以下は授業を終えた生徒の感想です。
座学で知識として学ぶだけでなく、実際に自分たちで羽の形状を設計・制作したことで、『0から1を生み出す』ことの難しさを肌で感じることができました。設計の奥深さを体験できた貴重な機会でした。
生成AIは知識の提供は得意ですが、創造的な発想には時間がかかると感じました。授業後半、自分たちの班の設計が行き詰まってしまった際、他班のアイデアを参考にしても良いと気づきました。机上の計算だけでなく、実際に動かしてみる『試行錯誤』の重要性を学びました。
他教科と融合させた授業では、様々な分野の知識を活用できるかが大きな差になると感じました。一つの教科の枠にとらわれるのではなく、広い視野で物事を見て判断できる力を養っていきたいです。
まるで専門学校のような高度な授業内容で驚きました。CADで細部まで調整しても3Dプリンターでの出力がうまくいかないこともあり、技術的な難しさも感じました。しかし、これまで難しく捉えていた『発電』が、今回の授業を通して意外と身近なものだと分かりました。
発表会での講師の先生のお話が印象に残っています。『面白いアイデアが出ても、法的な規制などで実現が難しいことがある』と聞き、単に良いアイデアを出すだけでなく、それを社会で実現させるまでのハードルの高さや、現実的な課題についても考えさせられました。
発電所の立地には風や水の流れなどの地理的条件を考慮し、羽の形状には流体力学の知識が必要になるなど、教科の知識が実際に役立つことを実感しました。社会や理科、技術がうまく混ざり合っていて、非常に面白い授業でした。
理科で学んだことが実際にはどのような場面で役立っているのか、そのつながりを実感できました。例えば、理科では計算問題として解いていた『アンペア』や『ワット』の知識が、技術では『この機械を動かすには〇〇ワット必要』といった具体的な思考につながり、日常生活とリンクしました。社会で学んだ発電の知識と、技術的な視点を組み合わせることで、物事を様々な角度から考えられるようになったと思います。
●発表の様子